『ガイアの夜明け』(テレビ東京系列)は、一つのテーマに対して、半年から1年ほどの取材期間を経て、放送する回もあり、時間を掛けて制作できる稀有な番組です。
ネット上で「ガイア砲」と称されるように、日経映像では近年、社会的なテーマを扱う調査報道にも力を入れています。
撮影は、基本的にディレクターとカメラマンの2人体制。現場に何日も張り込みをすることもあれば、何度も取材対象者に会い、信頼関係を築いたところでようやくカメラを回せるケースもあります。取材を終えて編集したものは、局のプロデューサーと一緒に見て、修正や検討を重ねていきます。長期間に渡る取材では、取材者の視点がぼやけてしまうことがあるので、客観的な視点とわかりやすさが必要なのです。
番組で取り上げるテーマは、まず、ネタを探してリサーチし、企画書を作るところから始まります。局側へのプレゼンが通れば取材に移りますが、取材に長い時間がかかるテーマが多いので、いつも3つほどのテーマをかかえながら、同時並行で取材を進めています。
私が大切にしているのは、弱いものの立場で取材すること。
「報道の仕事は、権力側におもねる姿勢では本当の真実を伝えられない」
そのことをいつも心にとめて制作に取り組んでいます。
たとえば、外国人技能実習生を取り巻く劣悪な実態が、私たちの番組をきっかけに明らかになり、実習生の労働環境が見直されるきっかけになったケースもありました。こうしたテーマに取り組むことに、報道の役割や価値があるのだと信じています。