作家の村上龍さん、女優の小池栄子さんが、様々な分野の経済人に経営の極意を聞く『カンブリア宮殿』の担当プロデューサーです。

番組の制作に携わっていると、時々、思ってもいない反響に出くわすことがあります。以前、地方のいわゆる田舎町に取材で足を運んだ際、地元のスーパーの経営者に「僕の夢は、いい会社を作って、いつかカンブリア宮殿に出演することなんだ」と、声を掛けていただいたことがあります。自分が作っている番組が、人の希望につながっているのだと気づかされ、とても勇気づけられました。
その反面、別の意味でテレビの影響力の大きさを痛感したこともあります。番組で取材した会社に、ある商品の注文が殺到したことがありました。普通に考えれば、会社にとってはうれしい反響だと思います。しかし、その会社は、想定外の注文数をさばき切れず、ついには経営者が夜逃げをする事態になってしまいました。商品の良さを視聴者に伝えるために作った番組が、結果的に、その会社を窮地に追い込むことになってしまったのです。テレビは、伝え方によっては、人の人生までも狂わせてしまうと思い知った出来事でした。

番組作りには、そんな面白さと難しさが両面ありますが、私がいつも考えているのは、番組を見た後に、視聴者が「おれも頑張ろう！」と、元気が出るような番組づくりです。